銃の所持許可を取得しよう ④所持許可の申請

2020年5月20日

こんにちは、blueです。

長かった銃の所持許可の解説も今回が最後になります。
ついに自分の銃を持つことになります。
最後のもうひと踏ん張り、頑張りましょう。

1.申請前に確認したいこと

いよいよ銃の所持をすることになりますが、所持許可の申請をする前にいくつか確認しておかなければならないことがあります。

所持許可を申請する場合、申請を出して許可証が交付されてからどの銃を購入・譲受するか決めるのではなく、購入・譲受する銃が決まり、購入・譲受する銃に対して許可を受けるという形になります。購入・譲受する銃が決まっていないとそもそも許可の申請が出来ないので注意しましょう。

また、申請を行う前に、銃・装弾を保管する設備が準備できていないといけません。

銃・装弾を保管するロッカーと保管の条件については銃刀法で以下のような基準が設けられています。

第十条の四 第四条又は第六条の規定による許可を受けた者は、次条又は第十条の八の規定により保管の委託をする場合その他正当な理由がある場合を除き、許可に係る銃砲を自ら保管しなければならない。
2 前項の規定による銃砲の保管は、内閣府令で定める基準に適合する設備及び方法により行わなければならない。ただし、狩猟のため内閣府令で定める基準に適合する保管設備がない場所に宿泊する場合その他正当な理由がある場合は、この限りでない。
3 前項に規定する設備に銃砲を保管するに当たつては、当該設備に、保管に係る銃砲に適合する実包等を当該銃砲と共に保管してはならない。
4 前項に定めるもののほか、第二項に規定する設備に銃砲を保管するに当たつては、当該設備の存する建物(建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)第一条の規定に該当する建物にあつては、同法第二条第一項に規定する建物の部分)内に、保管に係る銃砲に適合する実包等を保管しないように努めなければならない。

第八十三条 法第十条の四第二項の内閣府令で定める基準は、次に掲げるとおりとする。ただし、保管に係る銃砲が猟銃及び空気銃以外の銃砲である場合においては、その種類及び許可の用途に応じ適切な設備及び方法をもつてこれに代えることができる。
一 保管の設備は、次に掲げる要件を備えていること。
イ 堅固な金属製ロッカーその他これと同等程度に堅固な構造を有するものであること。
ロ 確実に施錠できる錠を備えていること。
ハ 管理上支障のない場所にあること。
ニ 容易に持ち運びができないこと。

二 保管の方法は、次に掲げる要件に該当すること。
イ 銃砲を前号の保管の設備に確実に施錠して保管すること。
ロ 前号の保管の設備を常に点検し、同号の基準に適合するように維持すること。

第十一条 火薬類の貯蔵は、火薬庫においてしなければならない。但し、経済産業省令で定める数量以下の火薬類については、この限りでない。
2 火薬類の貯蔵は、経済産業省令で定める技術上の基準に従つてこれをしなければならない。
3 都道府県知事は、火薬類の貯蔵が、前項の技術上の基準に適合していないと認めるときは、貯蔵者に対し、技術上の基準に従つて火薬類を貯蔵すべきことを命ずることができる。

第十六条 第十一条第二項の規定による火薬庫外においてする火薬類の貯蔵の技術上の基準は、第二十一条第一項第一号、第二号、第四号、第六号及び第十号から第十三号までの規定を準用するほか、次の各号に掲げるものとする。
一 火災及び盗難の防止について留意すること。
二 前条第一項の表(6)(イ)の規定によりがん具煙火を貯蔵する場合には、次に掲げるところによる場所においてすること。
イ 周囲の壁及び天井並びに建築物の二階以上に設ける場合にあつては床は、厚さ十センチメートル以上の鉄筋コンクリート造り又は厚さ二十センチメートル以上の補強コンクリートブロック造りとすること。
ロ 入口のとびらは、厚さ〇・六ミリメートル以上の鉄板を使用した鉄製の防火とびらとすること。
ハ 窓、通気孔及び換気孔は、設けないこと。
ニ 自動消火設備を設けること。

銃刀法第十条の四は要約すると「同じロッカ―に銃と装弾を一緒に保管してはいけない。」「ガンロッカーと装弾ロッカーは別の建物に保管するよう努力すること。」ということを言っています。
とはいうものの別の建物に保管なんてのは通常難しいので、多くの場合はガンロッカーと装弾ロッカーを同一の建物内で別の部屋に保管することになると思います。

銃刀法施行規則第八十三条ではガンロッカーとその設置方法について述べています。
”イ”の項目を満たすガンロッカーは

  1. ガンロッカーは、すべての部分が1ミリメートル以上の厚さの鋼板で作られていること。
  2. 施錠した際、かんぬき機構等によって、扉の上下を本体に固定する構造となっていること。
  3. 外部から見える蝶番が切断又は取り外されても、扉が外れない構造になっていること。
  4. 設備の内部に鎖等によって銃を固定する装置を有していること。
  5. 扉を閉鎖する錠は、鎌錠等外部からの力によって容易に開錠できないものであること。
  6. 扉を閉鎖する錠は、掛け忘れ防止装置付きのものであること。
  7. 扉を閉鎖する錠は、鍵違い120種類以上のものであること。
    または1~7までと同等に堅固な設備であること。

の条件を満たすものになります。(この文章は猟銃等取扱読本からの引用です。警察からもらう資料なのでこれに従えば問題ないのですが、なぜか銃刀法にこれに該当する文言がない...)

火薬類取締法、火薬類取締法施行規則では装弾ロッカーの条件について述べています。

ロッカー自体の条件についてはどちらも銃砲店などで購入する場合はすべての条件を満たしたものを販売しているはずなので問題ないと思います。

設置に関してですが、「容易に持ち運びできないこと」とされている条件を満たすためには、ロッカー自体を部屋の壁に固定する・ロッカーに重りを入れるなどの対応が必要です。
借家で壁に固定できない場合はディアウォールのような突っ張り柱を作ってそこに固定する方法もあります。
警察によって対応が異なる場合もありますので、突っ張り柱を使って固定する場合は事前に警察の担当者に確認してくことをお勧めします。


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2.銃の所持許可の申請

購入・譲受する銃が決まり、ロッカーの準備が出来たら所持許可の申請を行いましょう。
銃所持許可の申請先は住所地を管轄する警察署になります。

銃所持許可の申請に必要な書類は以下の通りです。

・銃砲所持許可申請書
・譲渡承諾書
・医師の診断書
・講習修了証明書
・教習修了証明書
・申請人の写真2枚
・手数料


それぞれ解説していきます。
・銃砲所持許可申請書

https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/tetsuzuki/firearms/form.files/j07.pdf

上のURLは警視庁のサイトからのものです。「東京都公安委員会殿」と記載してあるため、あくまで一例としてみてください。実際に書類を提出する場合はお住いの都道府県の警察のサイトからダウンロードしましょう。

必要事項を記入して提出します。

・譲渡承諾書

https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/tetsuzuki/firearms/form.files/j18.pdf

必要事項を記入して提出します。
銃を購入・譲受する人(自分)が書く欄と銃を売却・譲渡する人(銃砲店など)が書く欄があるので注意しましょう。

・医師の診断書

www.keishicho.metro.tokyo.jp

銃刀法第五条三~五項に該当しないことを証明するための診断書です。

射撃教習の受講の際に提出した時と基本的には同じです。
提出日の時点で、診断書の作成日から3か月以内であれば再提出が可能です。射撃教習の書類提出に使ったものを再度提出する場合は日付をよく確認してから提出しましょう。

・講習修了証明書

初心者講習を受講した際に交付されたものです。有効期限は交付されてから3年以内ですので注意しましょう。

・教習修了証明書


射撃教習を受講した際に交付されたものです。有効期限は交付されてから1年以内ですので注意しましょう。

・申請人の写真2枚


提出前6か月以内に撮影された無帽、正面、上三分身、無背景の縦30×横24mmのものを使います。裏面に名前と撮影年月日を書きましょう。

・手数料


10500円です。収入証紙か現金で支払いましょう。

これらの書類を住所地を管轄する警察署に提出します。

猟銃等取扱読本には教習修了証明書の交付を受けてから1年以内に所持許可の申請をする場合は同居親族書、身分証明書、住民票の写し、経歴書の添付を省略できる、と書いてありますが、そもそも教習修了証明書の有効期限が交付から1年以内なので無条件に4つの書類は省略可能と考えてよいでしょう。
(射撃教習までの申請を行ったと公安委員会と異なる公安委員会に申請を行う場合は同居親族書、身分証明書、住民票の写し、経歴書の添付が必要になります。)


警察署に書類を提出する際は事前に電話連絡してから行きましょう。

書類を提出すると、教習資格認定書の書類提出の時と同様に面談を行います。教習資格認定の時とほぼ同様の内容ですので、変更点がないかぎり時間もかかないと思います。

面談後所持許可証が交付されるまで1か月ほどかかり(標準処理期間は35日以内)、その間に警察の方がガンロッカー等の設置状況の確認をしに来ます。

問題がなかった場合に所持許可証が交付されます。

許可証表紙
許可証の中身。
許可の内容。
用途は「狩猟」と「有害鳥獣駆除」になっています。

3.所持許可証の交付・銃の購入、譲受

所持許可が出て、所持許可証を警察から受け取ると、銃の購入・譲渡を行うことができます。

購入や譲渡の際には購入する銃砲店や銃を譲ってもらう相手に対して所持許可証を提示したうえで銃を購入・譲受してもらいましょう。

また、所持許可を受けてから3か月以内に許可を受けた銃を所持しなかった場合、その許可は失効するので注意しましょう。

4.警察署での銃の確認

銃を入手した後、14日以内に所持許可を受けた警察署に所持許可証と銃を持っていき、銃の確認を受けたうえで所持許可証の確認欄に確認年月日と確認印を受けなければなりません。

銃の購入・譲渡が済んだら警察署に連絡してアポを取り、なるべく早く確認をしてもらいましょう。

確認を終え、所持許可証に確認年月日と確認印をもらったら晴れて手続き終了です。

5.まとめ・参考URL

 長かった銃の所持許可の手続きもこれで終わりです。
銃の所持は許可後も年一回の銃検査などもあります。警察から事前に連絡が入りますので、忘れずしっかり検査してもらうようにしましょう。

銃猟を行いたい人で、まだ狩猟免許を取っていない方はこちらの記事を参考に狩猟免許を取得しましょう。

参考URL

警視庁 銃所持許可 申請様式一覧
https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/tetsuzuki/firearms/form.html

環境省 狩猟の魅力まるわかりフォーラム 銃所持までの流れ
https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort8/pdf/shojikyoka.pdf

電子政府の総合窓口 e-Gov
https://www.e-gov.go.jp/

電子政府の総合窓口 e-Gov 銃所持許可の標準処理期間の根拠について

https://shinsei.e-gov.go.jp/search/servlet/Procedure?CLASSNAME=GTAEGOVMSTDETAIL&menSeqNo=0000002268&id=12014A0010000